Listening(リスニング)とHearing(ヒアリング)
「私、英語のHearing(ヒアリング)が苦手です。」と聞くと、「この人の耳の調子が今日は悪いのかな」と思うこともあります。
ある英会話学習者は、相手の話している英語が聞き取れない場合、こんな質問をする傾向があります。「もうすこし分かりやすく英語を話してくれませんか?よく聞き取れません。」とか、「もう少しゆっくり話してください。」と。
ただし、これらの質問の意図していることは、「私に分かりやすい英語の発音で話してください」という場合もあります。「分かりやすい」、「聞き取りやすい」英語というのは、日本人にとってどんな英語かというと、1単語、1単語、日本語アクセントで発音されたのことです。そのような英語は聞き取りやすく感じている学習者が多いようです。
音が聞き取れない?!つまり、ヒアリングができない。英語の音がまったく聞き取れないわけです。
たとえば、「dog food」と伝えてもそのような学習者に理解されにくい場合、「doggu fuudo」と母音をつけると理解されやすい。だれもそのような発音をして英語を発したりはしないが、日本人にとっては聞き心地がいいのでしょう。なぜなら日本語はほぼ全ての単語に母音がついているから。
ちなみに母音とは日本語であ、い、う、え、おです。
子音はそれ以外の音。
英語はこの子音だけで発音している場合もあるので、日本人には馴染みがないこともあり、聞き取りにくく、また発音も困難にさせていると言われています。
母国語が日本語である4歳ぐらいの子どもから大人まで、母音がない英単語の発音練習をさせると、母音をわざわざつけて発音をします。聞こえている英語の音と、発音している英語が明らかに違っています。母音をつけることによって、ある意味、話している音は間違いないもの、もしくは安心するのでしょう。
でも発音している当の本人は、実際に聞こえている英語と自身発している英語の違いに気づいたり、指摘されれば、上手に真似ができるように練習をする人と、まったく違いに気付かない人がいます。
聞き取れないから、発音もできないのでしょうか?
また、発音ができたら聞き取れるのでしょうか?
リスニングや発音に関して、日本にはいろいろな学習方法が紹介されていて、「発音ができないとヒアリングができるようにならない」とか「フォニックス法」、「リスニング マラソン」とかあります。
ただし、聞き流すようなリスニング練習だけで、英会話ができるように、話せるようになりません。話す練習が必要です。
リスニングに関して、いろいろな意見や研究結果から、日本人は大体1000時間英語を聞き続けると英語を聞き慣れることができるようになる、と言われています。
例えば、1日3時間、1年間続けると英語を聞き取れるようになります。
当然個人差があります。音痴な人は2000時間以上かかる場合もあります。またモノマネ上手な人は500時間から800時間で聞き取れることができます。
ですので、まずは、この1000時間を目指すのはいい目標だと思う。
もし留学して15時間英語を聞く機会があれば、約2ヶ月で英語が聞きとれることになります。ただしそんな簡単な話でもないので注意が必要です。
話し相手の英語を聞き取れないと会話ができません。
英語で話しかけることができても、相手の言っていることが聞き取れないと会話になりません。当然ですね。
Hearing、つまり英語を聞けるようになる必要があります。耳の垢をきれいにして(笑)。
私の一つエピソードを一つ紹介。
アメリカに滞在時、ホームパーティーで友人が彼女の友達を私にいろいろ紹介してくれました。その内の一人の女の子の名前が「Marilyn」。お互いに自己紹介をし、彼女の名前を聞いたときは「初めて聞く珍しい名前だな〜。」と思っていました。
パーティーの間、私が彼女の名前を呼んでもまったく振り向いてくれません。「シカトかい!」と「むっ」としたのですが、何度も呼んでも、それも、彼女にはっきりと聞こえるように彼女の名前を呼んでも、振り向いてくれないわけです。
そして、「あっ、俺の英語通じていないな。」と悟ったわけです。発音がちがうし、聞き取った英語もまちがっている、と。
例えば、「さとみさん」と声を大にして呼びかけているつもりなのに、まわりには、「さとるくん」と聞こえるわけです。そんな呼びかけには、当然だれもこちらを振り向きません。(笑)「この人だれを探しているのかな?」となります。
紹介してくれた友人とMarilynがパーティーの間、ほどよく酔っ払いながらも彼女の名前の発音練習をすることになったわけです。「パーティーで何してのか・・・トホホ」
彼女たちの指導中、Marilynは女優の「マリリン・モンロー」のマリリンと同じ!それも同じスペルであることがわかりました。初めて聞く珍しい名前でもなんでもありませんでした。当然日本語読みの「ま・り・り・ん」では通じません。
何度も何度も彼女の名前を発音してもらったり、似たような発音の単語を例にしてくれましたが、私の耳に垢で聞き取れていないのか、私自身、その音を正確に聞き取れていても、どの発音がまちがっているのか、自分でもわけがわからなくなり、最後は二人とも呆れて「Never mind!」とどこかへ行ってしまいました。
「聞き取れている」という自信がないと、その発音も曖昧になります。
英会話が上達できないのは、その英語の表す意味がわからないから「聞き取れない」のか、「英語そのものの音を聞くとることができない」のかで学習方法が異なります。
会話上、相手の英語が聞き取れているけど、意味がわからない場合は、その英語を正確に発音ができれば、質問される相手にどこがわからないのかを正確に質問し、答えてもらうことができます。会話が成立します。
もし、相手の発する英語を正確に発音することができない、もしくは真似することができなければ、相手は、あなたの質問を推測することになります。もしくは、あなたが相手の話している内容を推測することになります。
あやふやの理解のまま、会話が終わってしまうことになります。
英語を聞くだけでなく、それを声に出し、それをチェックするか、してもらう必要があります。
でも、あなたがたくさん練習したのにもかかわらず、正確に発音ができなくても、相手に理解してもらっていないと感じたら、その話し相手に自分は何を伝えようとしているのかを伝えることができる英会話能力があれば、それほど発音を気にすることもないことも、付け加えておきます。
すぐに上達したり、できなかったものがすぐにできるようには、なかなかなりませんね。
日々のちょっとした積み重ねが上達への近道だと思います。
がんばれ!
安田 英承
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