日本では多種多様な英会話教材の入手が可能で、ローンまで組んで購入するものから、フリーのもの、初心者や幼児から上級者まで使えるようなものなど、あまりの量の多さにこれから英会話の勉強をしようと思っている初心者にとって、選択が多く嬉しい反面、自分にとって何が好ましいものなのか、悩みの方が大きいかも。
今回は、英会話用の教科書について。
指導する側にしても、あまりにも多くの英会話指導書があり、どれを選ぶか本当に頭を抱える英会話講師も多いと思う。また、スクールや会社側から、「はい、このクラスでこのレベルの生徒には、このテキストを使って指導してください」みたいに、すでに教える内容とテキストが与えられている講師は、テキストを選ぶストレスはないでしょう。
英会話スクールを運営しているセシルの安田です。
ベテランの英会話講師、日本人講師や外国人講師などから頻繁にこんな質問を受けます。
「セシルでなぜオリジナルのテキストの販売をしないのか?歴史もあるし、経験もある、ノウハウもある。また他のスクールでは、テキストの販売から得られる利益は結構なもので、セシルも潤うのだから、導入するべきだよ。」と。
また、
「授業で使う教科書がないと指導できません。」、「テキスト無しでレッスン進める自信がありません。スクール側から提供してくれませんか?」など。
また、英会話スクールを探しているお客さんからの問い合わせに、「教材の販売はありますか?値段が高いものですか?」というような質問もよくあります。
「教科書って必要なんだろうか?」と思う出来事の1つ目
ある時、「教科書って必要なんだろうか?」と思う出来事がありました。
一つは、アメリカ人の友人の学生時代の話をしていた時、彼は高校まで卒業したけど、中学と高校の時、授業にはほとんど出席したことがなかった、と。理由を尋ねると、「教科書さえきちんと理解していたら、なぜくだらない授業にわざわざ出る必要があるんだい?」と。
「頭がいいからとか、悪いからではなく」と前置きをしながら、「教科書なんてあってもいいし、なくてもいいもんだよ。図書館があるし。」
面白い!
やっぱり、私のスクールでは、
「生徒の目標達成をするための講師の指導力」
「生徒の目標達成をするための授業内容」、
それに「生徒の目標達成をするための生徒のための教材」
が全てマッチし、それらをシンクロさせながら、生徒のゴールを達成するお手伝いをする環境を英会話スクールとして提供することは、当然だと思うのです。
だから、いい教材があっても、指導力がない英会話講師の元で、授業をやっても、生徒にとって授業にわざわざ出席する必要はなし、講師の指導力と教材が良くても、内容がそぐわないと、どんなレッスンやっているの?となってしまう。また、教材がダメであれば、生徒にとって単なるゴミになるわけです。
私のスクールでは、昔、オリジナルの英会話教材作成のためのスタッフやベテラン講師に高額な給与を支払って作成し、それなりにいいものが出来上がり、授業に取り入れていました。そして生徒からの教材への評判も上々でした。
妥当な料金設定で提供をしていました。しかし今は、その教材は一部の講師以外、私のスクールでは使用していません。
なぜか?
「教科書って必要なんだろうか?」と思う出来事の2つ目
日本国内の英会話スクールでとても人気の高い子ども向きの英会話教材があります。書店などでも購入可能です。そんなテキストをとても上手に使いこなし、レッスンで指導し、生徒の英会話上達に貢献しているベテランの講師から、そのテキストについて、とても強く勧められたことがあります。
「セシルでもこのテキストを導入するべきだ」と。
この教科書には、先生用の指導書も別に販売し、英会話講師がそのテキストの使い方などを自分で勉強できるマニュアルもあります。
私も自分がクラスを担当していた時に、試験的に導入するため、そのテキストの使用方法、マニュアル等を理解し、練習し、準備万端で授業に臨んだことがあります。
最初の1ヶ月は真新しさもあり、生徒への反応も上々でした。ただ、だんだんと私自身このテキストの使い心地が悪いと感じ出し、テキストの内容に沿った授業とそのマニュアルに自分の指導スタイルと合わなくなってきました。
試行錯誤続けながらも、そんな状態を続けていると、内容中心・テキスト中心の授業になっていき、私の指導力不足もあり生徒たちから「このテキスト、イマイチ」という声があがってきました。
それからというもの、たとえ評判の良いテキストでも、自分の指導に合わないものは使うべきではないな、と思ったのです。
英会話スクールオリジナルの教材を使って指導する危うさ
これがもし私のスクールで「規定の教材」ということで全講師に導入を義務付けるなんてことをしたら、何も考えずに、スクールから言われたままのテキストを使用する講師が仮にいて、生徒の英会話達成に結果が伴わなかった時、「テキストに書いて有る内容のことは教科書通りにやりましたよ。」とマニュアルだけの人の典型的な言い訳もありえます。これはスクール運営だけでなく、飲食店やサービス産業従事している人もこういう人っていますよね。
学校の先生とか、国から教科書が配布されて、それ使って指導しなければならない立場であれば、ストレスがある人が多いのでは?と思ったりもします。
英会話講師として、その人の指導力が発揮できるようなクリエイティビティーを持って、内容も申し分なければ、無理してまで規定の教材は使う必要はないと思うのです。その人に合ったものであれば、問題ないのです。
講師が生徒に合った教科書で、講師自身が使いやすいもので、結果が出せれば、最高だと思うのです。
ただし、生徒によって、教材があったほうが身につきやすい人、教科書があると目で見て確認、認識しやすく、上達も早い子供や大人の学習者もいます。
また、「教科書がない」と、特に小学生以上の生徒の父兄から、「何を授業で学んでいるのかわからない」と不安な声をもらうのもあります。そんな時は、講師と父兄との日頃のコミュニケーションや信頼関係が必要なのは言うまでもありません。
一般的に教科書というものは、本来持ちやすく、見やすく、理解しやすいようなものと言われています。だからそんな教科書はとてもよく売れやすい傾向ですし、そうあるべきなんでしょう。でも教科書なんて無くても問題ない。
パソコンで講師オリジナルのものを作ってプリンターで印刷して、生徒に配布し、授業で使っているセシルの講師は多いんです。でも先生は準備にかかる時間と能力が必要で、とても大変な労力を必要とします。
私のスクールでは近いうちに、今までのそんなノウハウを結集し、特定の生徒と特定の講師のためだけの、英会話上達と目標達成のお手伝いができるオリジナルの教科書をまた作る構想をしています。
安田 英承
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