帰国子女の子どもたちは、日本に帰国すると英語力の維持と向上のために、英会話スクールへ通うことも一つの手段です。ちなみに、帰国子女ではない、セシルの安田です。
ここ愛知県では、自動車や飛行機企業関係でアメリカに駐在した経験がある家族が比較的多いです。そんな帰国子女たちの英語力をクラスで見聞きしていて、担当の講師の話す英語が、聞き取れない、意思疎通がとりにくいことがあります。例えばアメリカ出身者ではない講師の場合。
海外在住が長くても、英語があまり得意でない親御さんにすると、子どもがネイティブみたいに流暢に話すのに、子どもが聞き取れないのは、先生の英語に問題があるのでは、というような質問や相談をよく受けていました。
そうですよね、流暢に話す子どもが「聞き取りづらい」と言うんですから。
一つ例を。
昔、英会話講師採用の件で、電話口で対応したとき、その男性から日本語でいろいろと採用について問い合わせがありました。その質問に答え終わって、面接をすることになり、彼の名前を伺ったら、どう聞いても日本人の名前ではない。電話口で、私はてっきり日本人と話していたつもりだった。なぜならものすごい流暢に話していたし、アクセントがまったくなかったから。
その彼と面接のとき、彼がバングラデシュ出身で、彼の両親の仕事の関係で、幼稚園ぐらいから小学3年生ぐらいまで日本の小学校に在籍していて、その後、母国に帰って現地のインターナショナルスクールを卒業し、英語を身につけ、その間に、たまに日本には遊びに来ていたなどを話してくれました。だから3ヶ国語を話せる。
でも、彼と日本語で話していて、彼がたまに聞き取れなかったり、理解できない日本語がよくあると、そんな時は、彼にとって、英語の方が大人となって日本語より得意になったので、主に英語で会話することが多くなります。
今でも彼は小学2年生ぐらいの漢字の読み書きもできるけど、文になると判読できないのが興味深かったです。
彼が言ってたのは、「僕の日本語は小学2年で止まっているよ」と。
同じ英語で会話をしていて、帰国子女の子達が聞き取りづらいって感じるのは、どんな時だと思いますか?
現地のローカルスクールに通っていても、英語習得にあまり苦労せず自然と身に付けた帰国子女の子達も、彼と同じような境遇の子どもが多いような気がする。また彼のような日本に滞在経験のある外国人で、日本人のようにアクセントがなく、日本の話題話をできるような人と、海外で会う機会ももっと増えるのではと思います。(私の義理の父はハワイ出身で、義理の祖父が広島から戦前にハワイに移住したので、父の日本語は古い日本語で、広島弁を片言だけど会話ができます)
日本に帰国後、英語の環境がなくなると、あっという間に英語を忘れます。でも、彼のようにたまに日本に遊びに来て、日本語のブラッシュアップを自然としていたら、小学2年生ぐらいまでの日本語は維持できます。だから英語維持も期待ができます。
それはそれで、すごく大変なことだけど、日本の学校にも通い、英語力を維持、向上させるためにがんばっている帰国子女の子たちは、アメリカのある地域のみで生活をし、同じ友達や先生と接する機会しかなかった小さな世界で日常生活していた経験がほとんどだと思う。
だからアメリカ人以外の外国人と話したり、アクセントなどが異なる英語を聞く機会が在米中なかったら、聞き取れなかったり、意思疎通が難しいのは、至極当然です。イギリスとかアメリカの他の州に行けば、もっと解りやすい。
また、そんな「努力奮闘中のセミ・バイリンガル」の子どもたちの語彙力も必要十分ではない場合、意思疎通ができない場合もあります。そんな語彙力は意図的に増やす努力が必要になりますね。
でも、もっと興味深いのが、そんな「聞き取りずらい」と不安そうなことを言っていた子達も、すばらしい「順応性」があります。彼らにとってアクセントが強いと感じる英語や、あまり聞き慣れない英語であっても、しばらくすると、何も問題なく意思疎通が図れるようになります。親の心配をよそに、「No problem!」とのこと。
帰国子女の子どもが、せっかく身に付けた英語を、いつでも、だれとでも、どんなことでも一般的なレベルにし、将来使えるレベルまでにがんばって習得し、将来活躍してもらいたいと陰ながら私は期待しています。
彼らにとって日本語で学業に励みながら英語を上達させることは大変なことかもしれないけど、帰国後、その壁をがんばって乗り越えると、以前ほど大変さを感じず、日本語と英語をバランス良く身につけ、バイリンガル化しつつある子になっている。
だから彼らがたとえ英語が聞き取れなく心配で、親や講師に相談をしても、自分で解決することができる能力をもっているから、しばらく様子をみるようにアドバイスしています。
安田 英承
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