私がアメリカ・シアトルで留学をしていた、21歳ぐらいのときの話。高校の友人がサンフランシスコへ行くから会おう、と誘いの手紙があり、(当時はeメールが一般的でなく、国際電話も通話料が高くそんなに頻繁に電話することもできず)サンフランシスコに到着したら滞在先ホテルからシアトルの私に電話をするということになっていましたが、半ば来るかどうか半信半疑だったこともあり、あまり期待もしていませんでした。しかし本当に連絡があり、急遽シアトルからサンフランシスコに向けて出発することになりました。
電話があってから3時間後に出発したこともあり、事前計画もまったくせず、ろくな準備もしませんでした。交通手段として飛行機だと予算オーバーだったし、バスでは時間がかかりすぎるため、車で行くことに決めました。とにかくタイトバジェトです。当時、日本で中型バイクの運転免許しかなく、アメリカで車の免許を取得し、知人から超格安で車を仕入れ、アメリカ人の友人と車をシェアしていました。
このポンコツ車は、普段買い物などで使用し、主に街乗り使用で特にメンテナンスもしていませんでした。ただエンジンからオイル漏れがしているな、ぐらいで気にも留めていませんでした。
これがあとで痛い目にあうことに。
シアトルからサンフランシスコまでの行き方の下調べの時間がまったくなく、ルームメイトから借りた地図を片手に、夕方のI-5(シアトルからカリフォルニアへと続くフリーウェイ)に乗れば、「なんとかなるでしょ!」と能天気に出発しました。
距離にして1320KM。名古屋から東京まで350KM。ポンコツ車で結構な距離を走ったんだと、このブログを書いて知りました。
エンジンからのオイル漏れが心配だったので、近場のカーショップでエンジンオイル缶を購入し、エンジンにたっぷりと注入し、フリーウェイへ。
「Let’s go!」
するとシアトルを出てから30分後ぐらいのTACOMAの辺りを走っていると、私の車を横切る運転手からジェスチャーで、「自分の車の後ろを見ろ」みたいな身振り手振りで合図され、ふとバックミラーで背後を見ると、とんでもないことに!!
私の車が走り去ったフリーウェイは、白い煙でごうごうと覆い尽くしているではないですか!これは、とんだ迷惑をしていた!また、サンフランシスコまでいけるのか!?と一瞬不安がよぎりましたよ、さすがに。
当時は車のメカのことはさっぱり分からず、フリーウェイを降りてガソリンスタンドで車の様子をショップの人にちょっと見てもらうことに。
すると先ほど入れたエンジンオイルの入れすぎが原因ということがわかり、しばらく煙を出しながら走ることになるが、途中で煙が出なくなる、とのアドバイスで安堵し、またフリーウェイへ。
そのままワシントン州とオレゴン州のボーダーを越え、ポートランドを抜けます。そして、セイラム、ユージンを抜けて、I-5をとにかくまっすぐ。本当はゆっくりと観光でもするんでしょうけど、無計画!
オレゴン州とカリフォルニア州のボーダーを超えた夜11時ぐらいから、I-5は長〜い坂道があり、そのあたりからエンジンがまた調子悪くなります。
坂道中アクセルべた踏みでも、40KMぐらいしかスピードは出ていなかったと思う。
まじで「やばい」と思った。
なぜか?
アメリカ人の友人たちが、「路駐には気をつけろ、特に夜は。物騒だからな!」と念を押してくれていました。
アメリカのフリーウェイには日本の高速道路のようなサービスエリアに当たるようなものはなく、EXITにあるマックやJack-in-the-Boxのようなファーストフードでトイレ休憩などします。(今ならスタバかな)
次のEXITまで相当な距離があり、そこまでもたないかも!と思った瞬間、急にエンジンが止まり、フリーウェイのど真ん中で立ち往生に・・・・。
すると大渋滞が起こり始め、また大迷惑!
「困ったぞ〜。こんな真夜中で、こんな森の中の何にもない場所でどうしよう・・・」
Hopelessでしたね。
すると、一台の車から女性が声をかけてくれました。
事情を説明すると、車から降りてきてくれて、牽引してくれることに。
「助かった!」(でも、この女性は安心できるのか!?)
しかし牽引ロープを持ち合わせていないので、「どうしよう?」と言うと、彼女のピックアップトラックで私の車を背後から押しながら走ってあげると提案してくれました!!
「むちゃくちゃな提案!」
「でも選択肢は他にない!」
多分30分ぐらい背後から押してもらったと思う。次のEXITをなんとか出て、近くのファーストフードのパーキングでお礼を言うことになります。
「Thank you. Thank you!」
その彼女は、この付近に住んでいたらしく、土地勘もあり、車の修理工場の地図やオススメのレストランやモーテルなど親切に教えていただいた。感謝感謝です。明日の朝に車で近くを通ったら、一緒に修理工場まで連れて行ってあげるとも提案してくれました!
(うれしかったな〜。)
別れたあと、勧めてもらったモーテルへ行くまでもなく、修理代のために滞在は諦め、なるべく明るい駐車場を見つけ、車内で一泊することにしました。
安全確保が第一なのです。
アメリカ中を仕事でキャンピングバスで移動し、道中車内で寝泊まりしている友人は、常に拳銃を車内に忍ばせて安全対策は欠かせないと、話してくれたことがありました。
日本では考えられない行為だけど、コトが起こって、警察に通報しても、警察が到着まで30分から1時間以上かかる場合もあるため、自衛は止む得ない、と。
ちなみに、私は当時拳銃は保持していませんでした。
続く・・・・・
安田 英承
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