一般的な公立中学校で行われている英語の授業について。
今使われている学校の教科書の一つ前の世代は、「会話を重視」ということで、3年間で学ぶ必須の単語数や文法項目は、その前の世代の教科書で学ぶ量から減らした経緯がありました。つまり、「読み、書き」よりも、「聞く、話す」をより主とするという目的だった。
でもその結果、生徒の英語力が劣化してしまった、と言われています。つまり私たち親の世代が経験したような授業内容の読み書き・文法ができないと英語力向上が望めないということで、また最近新しく教科書が改定され、単語数、文法項目もぐっと増えていきました。
今までの改革等は、なんだったんだろうね〜、と思うんだけどね。
また、今では外国人ALTのサポートもあり、一昔前の授業とはかなり内容が異なっているはず・・・・。
私自身、この英語教育業界に20年以上いると、いろいろな中学校の現場の話、通う生徒たちの英語力、また文部科学省の方針など、見聞きする頻度が多いのです。
でもはっきり言えることは、昔も今もあんまり変わっていないな〜ってこと。
ある教育関係の人たちからの意見では、「かなり色々な面で改善されてきている。」んだそうです。
例えば、最近の中学校の先生たちの中には、「使える英語を学んでもらいたい」、「挑戦したい」という志を持った人たちも非常に多いと聞いています。
授業を受けている生徒たち
教科書の文法項目の説明、和文英訳、単語の意味、発音練習。
リスニングへの対応のためにオーディオを使ったり、ALTとの英語でお遊び、とのこと。
教科書内に「会話練習」のページもあるのですが、ほとんどの場合授業では「飛ばされる」ことが多いんだそうです。
中間テストや期末テストも読み書きを中心とした昔ながらもの質問形式。
だから、高校入試を控える中学生や日頃の学校の英語の試験対策に、学習塾で使うような、このようなワークブックで必死に練習しています。
30年前のワークブックと現在のものと内容があまり変わっていません。
学んだ英語が実際に使えるようになるために
英会話習得の場合には、英単語を覚えて、文法項目を理解し、英語を聞き取れるようになり、そして覚えたものを使えるようにならなければなりません。
今後、現場の先生たちが、生徒の英会話能力をどう評価するのかが課題だと思う。
何れにしても、中学生が英語を実用的なものにするための習得法と、英語を学問として習得する現在の学校の授業スタイルや内容とでは、学習目的が違うので、学生たちの卒業時の英語能力の結果が、世間の望む結果が異なるのは当然でしょう。
でも授業内容や教科書はどうであれ、一生懸命英語の勉強をしてきた学生にとって、決して無駄ではないと思っています。
以前英会話のクラスの中学生が卒業間近の時、英語で作文をしてもらい、それについてお互いに英語で質疑応答をさせたことがありました。
結構上手に英語で会話ができていましたよ。普段、学校でそんな機会は作られたことがなかったようで、彼ら自身の英語の出来に、えらく自己満足していたのを今でも覚えています。(ちなみに彼らはお互いに違う中学校に通い、学年の成績上位5本の指にいつもランクしていた)
ただし多くの中学生が英語を学ぶ主な目的が、テストの点数や入試のためと考えています。(自分が学生の時もそうだった)でも、同時に「英会話ができたらいいな」、と思っている子たちも少なからずいます。(そんな感触があります)
そんな現状に対してできることって何なんでしょうかね?
教育システム、国の方針、指導法、入試構造、カリキュラム、教科書の内容、生徒自身、先生の英語能力など、どれに問題があるんでしょう。
小手先の応急処置的な考え方では、30年以上前、自分が中学生だった頃と、これから先もずっと変わらないと思うのは、私だけでしょうか?
そもそも学校で英語は必須の授業か?とも思っています。
Good luck.
安田 英承
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