瘋狂英語(クレイジー・イングリッシュ)!

英会話上達

この映画を見たことがありますか?

中国の英語教師、李陽(リー・ヤン)氏の英語教育活動を中国全土で繰り広げている様子を表舞台だけでなく、裏の様子も描いた1999年製作のドキュメンタリーです。

この映画を見たら英会話が上手になるというのではないけれども、彼の「独自?」の英会話習得法とユニークな講義、そして中国ナショナリズム・成功哲学との組み合わせで、中国全土で反響を及ぼしています。設立から10年ぐらいで数百万人が受講したスクールの代表です。

受講生への動機付けは、いたってシンプル。

「金儲けのために英語の勉強をしよう!」

「Make more money!」

そして、

「自分の両親の誇りになろう!」

「自信に満ちた中国人になろう!」

「祖国を失望させるな!」

「自分は苦労して絶対成功を目指そう!」

「中国語が1番だ!」

だから、

「恥をかなぐり捨てて大きな声で英語を話そう!」

と2万人の聴衆の前でレクチャーをします。

これが1日3回レクチャー行い、総動員数10万人。さすが中国でかい!

 

英会話授業エンターテインメント! 一番後ろの生徒は先生が見えない!

英会話授業エンターテインメント! 一番後ろの生徒は先生が見えない!

 

中国でも日本と同じ英語教育システムで、読み書き重視の筆記試験に重点が置かれているので、中国人も英会話ができないのです。

中国人が英会話ができるためには、中国人独特のアクセントを矯正し「アメリカ人のような英語」を話すためには、「口腔筋(こうくうきん)トレーニングの3原則」を提唱しています。彼は「International Muscle(国際的筋肉)」を持つことができたから発音が上手である、と解説していています。おもしろいでしょ〜。

この3原則とは、暗唱する英語の文を

  • できる限りはやく

  • 大きな声で

  • 明瞭に話す

短時間で同じフレーズを大きな声ではっきりと反復する練習です。

中国人の話す英語のアクセントを矯正するために、母音を正確に発音できるように特訓します。

特に短母音の発音は

  • 腹に力を込めて

  • 鋭く

こんなレクチャーを農村部の貧しい地域から、北京大学、解放軍キャンプ、万里の長城などありとあらゆるところでの映像もあります。

 

 

また日本人の話す英語もこき下ろしています。

「日本人の話す英語は、Japanese English。  最悪。 さっぱりわからない。日本国内の大企業は英語を習うために、アメリカから専門家を呼んで1時間3万ドルも払っている。英語ができる中国人のためのでかい市場が日本にある!」

煽る煽る。

「1937年の南京大虐殺の写真を集めて、子供たちに見せてるけど子供達は全く興味を示さなかった。まずいと思ったよ。もし今も中国人が日本人を憎み、悲惨な歴史を忘れられないのであれば、もっと中国人が強くなり、強い中国になるように、自分から強くなる必要がある。これが歴史を記憶することだ」と持論も展開しています。

受講生のモデリングに江沢民元総書記の話もでてきました。江氏は4ヶ国語をあやつり、自身「英語教室」も政治活動前は開校していたようです。

 

こんな2万人もの受講生を動員して授業になるのか、の質問について、李氏は「初心者は大人数でよい。先生の真似をしていろいろな文章を覚えることができるようになったら、少人数のクラスで継続していけばかなりの上達が望める」と。また「高価な教材は必要は英会話学習には必要はない」。

私自身、まったく同意するところですが、その反面、李氏は英語をビジネスとして成功するために、教材にたくさんの投資しているところや広告宣伝について語っている映像もあります。それらの高価な教材を購入したくなるのは、どこの国でも同じなんですね。

李氏の瘋狂英語(クレイジー・イングリッシュ)で提唱していることは、初心者にとって、当たり前の学習方法なんです。

文章を丸暗記、口に出す。

発音を表すジェスチャーで練習し、

心構えとして、

アジア人面目を保とうとするので、まずそんなものは捨てよう。

 

来日時の記者会見でこんなことを言っていました。

 

李氏:「英語がアジア人同士の相互理解の助けになるのです。」

私がこの映画を見るきっかけを作ってくれたのが、現在中国人の英会話講師と一緒にお仕事をさせてもらっている方から。彼女自身、前職が中国の大企業で人事でコミュニケーション開発を行っていたため、その能力にとても長けていて、一緒にお仕事をしていてとても楽しい。中国のことをもっと知りたいと思うようになりました。

その彼女が瘋狂英語(クレイジー・イングリッシュ)の受講経験者であることを話してくれたわけです。

10年以上前にも一度、中国出身の人を英会話講師として採用した経験がありましたが、その方の英語もものすごく堪能でしたね。

最近の日本と中国の関係のマスコミの報道の仕方と、チャイナマネーによる日本への観光のモラルの低さを「わざわざ」テレビや雑誌などで報道されている影響からか、中国のことをよく思っている日本人があまりいないように感じたのと、日本人で中国へ観光に行った人からは、「もう行きたくない」というかなりネガティブな意見を多く聞いて、私個人もまったく中国のことをいいようには思っていませんでした。本当は何も知らないのに。

しかし今回新たに中国出身の人を英会話講師として一緒に仕事をさせていただくにあたり、最近の中国人に対する「ステレオタイプ・先入観」の自分の愚かさと日本人としてどうあるべきかということに気づかされました。

このご時世、日本人に中国人英会話講師として受け入れられるのか?とか頭をよぎり、彼女に私の先の日本の報道されているような内容の失礼な疑問にも真摯に答えていただき、「なんておろかな質問をしているんだろう・・・」と気が重くなりました。

目の前にいる一人の中国人のことが理解できないのに、あれだけ巨大な国のことを理解しようにも、理解してみたいという気持ちがないと、お互いの相互理解なんてこりゃ無理だと思ったわけです。また時間がかかる。

でも英語を介することによって、中国の知らないことがわかるようになるし、日本のことも紹介できるようになれば、中国人と日本人は同じアジア人でも、お互いに違うんだとわかるようになれるのです。政治的なことを除いても国民同士仲良くやっていけると思う。英語ができるようになれば、一国民として、お互いに分かり合えるような経験もできるようになる可能性があるのです。

Good luck!

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安田 英承

1970年、日本国生まれ。「セシル」代表。英会話スクール、留学斡旋、翻訳・通訳業務、日本語教室運営を名古屋中心に行っている。韓国人と日本人のハーフで、妻はアメリカ人。1児の父。ハーレーとアメ車好き。 別アカTwitterで「ハーレー英会話」してます。

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