人様の子どもを自分の子どものように育てること

他いろいろ
Foster care: 里親制度 

結婚当初、アメリカ人の妻と子どもについて話をしていた時のこと。

もし子どもができなかった時、どうしようか?と、話していた時に、「できないものはしょうがないよね」とあまり深くは考えていませんでした。

でも、妻から「foster parents:里親になるのもいいんじゃない?またはadapting a child:養子も」と。

私は「何を言っているんだ?」と思っていました。

だって私の日本人の友人や知人に里親に育てられたとか、養子だった人はいなかったので、よく意味がわかりませんでした。

アメリカやカナダの知人には、そのような環境で育った人もいましたが、日本では聞いたことがなかったのです。

妻の話では、「アメリカでは普通だよ」と話してくれた。

それからというもの、里子や養子について考えるようになってきました。里子や養子のことは知っているつもりだったけど、いざ我が身となると、本当はよくわかっていなかった。

確かに親が亡くなった、身体的、精神的、また環境上様々な原因で親が育てられなくなり、止むを得ず子どもを施設に預けることはあるよな〜と思うようになりました。

でもそんな子どもたちは一体どこにいるんだろう〜と色々と調べたことがあります。

それから、日本の里親や養子制度についてある程度知ることができ、問題点も見えてきました。

でもなぜか私自身、里親になること、また養子を受け入れる覚悟が持てなかったな、その時までは。

Foster care: 里親制度 

Foster care: 里親制度

 

しばらくして、アメリカに行った時、妻の会社の元同僚と一緒にお食事をする機会がありました。

その時子どもの話になり、私が、「妻が里親か養子を考えている。」と伝えると、「Good idea!」というのです。

すると、彼女は里親だったんですね。それも3人も。自分の子供を合わせて5人と一緒に生活をしていることを知りました。また彼女はフルタイムの看護師。

もっとすごいのは、シングルマザーであること。

驚いた。

里親について彼女の楽しい話や苦労話を色々と聞くことができました。

最近、5歳と3歳のアジア系の兄弟を里子として受け入れたばかりで、彼らが施設に預けられた理由は、両親ともが麻薬のジャンキー(中毒)で、若い外国人。両親が警察に捕まり、国外退去となりました。

子どもはアメリカ国内の施設に保護され、しばらくして彼女が里親として引き取りました。

当時の子どもたちはドメスティックバイオレンス(家庭内暴力)の被害者でもあり、施設に預けられた当時はかなり痩せ細っていたようです。

彼らと同じ屋根の下で暮らし始めたところの生活は、とても大変だったと言います。

なぜなら彼らは、大人の言うことを全く信用してくれない。だから何を言っても聞かないし、嘘ばかりついてたようです。また、まともに育てられていないので、日常生活と言うものを知らないし、テーブルマナーなどあらゆる躾もされていなったわけです。

だって彼らの周りの親や大人が信用できない人たちばかりだったから、彼らの行動や考え方も、たとえ5歳の子供でも大人を信じられないのは当然だっただろうな、と。

彼女はそのことを十分に理解していました。

(その1年後に彼女と再会した時に、彼らが映った写真を見せてもらったけど、子どもたちは最高の笑顔だったな)

「里親になるのは大変だ!」とものすごくショックを受けました。でも、帰国後、里親になることや養子を受け入れる表面的な心の抵抗がなくなったのは覚えています。

つまり、里子や養子は別に特別な子供ではない、育った環境が異なる普通の子供だと。

そこで日本の里親制度や養子について本格的に調べてみると、当時、私たち夫婦では、年収や年齢などで受け入れることができないことがわかりました。

里子の受け入れ審査が厳しいのは当然だと思う。だって子どもが里親の奴隷のような扱いを受けたり、虐待される可能性もあるからね。

でも条件をクリアできなかったのは、ちょっと残念だったな。

日本の里親・養子制度は、まだアメリカほど依然として一般的ではないように思う。制度の問題よりもむしろ、日本独特の何か歴史的背景とかお家制度、「子どもは家のもの・・・」みたいな習慣があるのかな?もしくは私みたいに単なる無知なのか・・・・。よくわかりません。

その一件後、我が家に子どもを授かることになったけれど、友人の経験談を聞かせてもらって、育児の考え方も変わったな。

子供が安心できる環境ってなんだろうかとか、実の親がいても、何らかの理由で子供と一緒にいる「時間がない」のは、親子にとっていいのかな?また、もし親である私が何らかの理由で我が子を育てられなくなった時、子供は自分で責任を持った生活ができるような育て方を今しているかどうか、って考えるようになっているわけです。

育児の根底には、やっぱり子供に見返りを求めない純粋な愛情だな、と思ふ。

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安田 英承

1970年、日本国生まれ。「セシル」代表。英会話スクール、留学斡旋、翻訳・通訳業務、日本語教室運営を名古屋中心に行っている。韓国人と日本人のハーフで、妻はアメリカ人。1児の父。ハーレーとアメ車好き。 別アカTwitterで「ハーレー英会話」してます。

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