「英語を学ぶ」か「英語で学ぶ」か:帰国子女編

バイリンガル
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帰国子女:海外で生活をした経験がある子ども。

今回は現地で英語を身につけた幼児、小学生、中学生または高校生の帰国子女のお話。

私の英会話スクールでは、帰国子女対象のクラスも開講しています。またそのクラスの内容について問い合わせが多くあります。

海外で英語を身につけ、日本に帰国した子どもを持つ親が、その子たちの英語力を維持するために、英会話スクールなどに通わせています。なぜなら日本に帰国すると、せっかく身につけた英語も現地にいた時よりも劣ったり、忘れていく現実にぶち当たるからです。

意図的に時間を見つけて、積極的に英語を使わない限り忘れていくのは仕方ない。

忘れていくスピードは、帰国した時の年齢と滞在期間によって違うし、帰国後の英語に接する時間にもよるけど、現地で苦労して英語を身につけた経験がある場合、遊びながら身につけた場合に比べて忘れにくいようです。

帰国後の子どもの英語維持の考え方

ある帰国子女の子どもとその親御さんと初めて面接をした時のこと。

代表である私から、どんなクラスをやっていて、帰国子女対象の授業内容についての質問を直接したいということで、面接と担当の先生と体験レッスンを実施しました。

中学1年生ぐらいで、海外生活は3年ぐらいだったかな。でも帰国してからすでに6年経っていた。そして、英検1級ホルダー。

担当講師との英語での会話も、多少ぎこちなさがあったけど、「さすが!」と思った。

でももっと驚いたのは、「帰国後6年経っていても、よく英語力維持できているな〜」ってこと。

小学校1年生ぐらいに帰国したらしく、その後も英語力を維持するために英会話スクールに通ったり、近所の外国人や留学生からプライベートで英会話を維持するための努力をず〜と続けていたとのこと。

また、英語維持(読み書き)のために、英語の本を読んでいる習慣があることだった。

そして、今読んでいるという、結構分厚い本をカバンから出して見せてくれた。

「とても面白いよ」と。

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一通りその子の英語のチェックが終わり、再度受講目的の確認すると「英語力を維持したい」とのことだった。

またその親御さんから、

「今までの個人のレッスンや他社の英会話スクールでは、子どもの好きなゲームや興味のあることを中心に遊んだり、話したりするんだけど、本当にこの子の英語が伸びているのか、わからないんです。」

と切実な状況を話していただいた。

確かに、言語に磨きをかけるのは、母国語が英語でも日本語でも、第二言語が何であっても、年齢関係なく、常に両言語の維持と向上を継続的に行うことが必須です。

だから、ある程度英語が話せるようになったからという理由で学習を止めたり、英語に触れる時間を取らなくなると、あっという間に劣っていく・・・・。中途半端はダメってこと。

さて、この子の場合、日常生活で英語に接する時間を自分で確保して、また英語で色々なことを調べたりするのも好き。つまり、英語能力が劣っていく要素が見当たらなかった。だから帰国後6年経っても英語力に磨きがかかっていた。

つまり、英語を学ぶ段階ではもうないのか!?

「英語で」何を学びたいのか?

結局私が提案したのは、「英語で学ぶこと。」だった。

つまり、英語を維持向上する学習をすでに自分で行っている。つまり、英語で学びたいことが学べる機会の提供になります。

今、日本の大学でも「英語学科」が人気だそうです。何をその学科で将来身につけるかというと、英語を学び、英語ができるようになることが目的。

つまり「英語を学ぶ」ことを主とする内容がほとんど。

でも、すでに英語を学ぶ必要がない帰国子女のような子たちには、英語で専門的なことを学べる大学の環境が将来的に必要です。現在では、上智大や一部の大学、もしくは海外の大学で学ぶしか、今の日本には選択がないんじゃないかな?

つまり英語能力向上そのものが目的ではなく、英語で何かを学ぶこと。様々な専門的なことが英語で身につけられる場が必要なんですね。

この子の場合は、「科学」を英語で勉強したいという意思がありました。よって、英語そのものの上達を焦点を当てるよりもむしろ、科学に関する授業を英語でディスカッションしたり、科学に関する教材を使用して、興味のあることの知識や考え方をより深めていくことに。

 

日本国内で帰国子女の英語力維持を助けるものは、子ども自身の英語に対する自覚と普段の努力があるとすごいな、とその子が話している英語を聞いて思った。

そして、そんな英語能力がすでにある子どもたちの英語の読解能力、文章作成能力をアカデミックレベルまで引き上げる環境の提供をし続けることも、スクールとして今後も必要だな。

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安田 英承

1970年、日本国生まれ。「セシル」代表。英会話スクール、留学斡旋、翻訳・通訳業務、日本語教室運営を名古屋中心に行っている。韓国人と日本人のハーフで、妻はアメリカ人。1児の父。ハーレーとアメ車好き。 別アカTwitterで「ハーレー英会話」してます。

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